二月二日。

連休二日目。

いまの仕事に就いてから連休が多くなった。これまで働いてたところだと忙し過ぎてそれどこぢゃなかったのだけれど、いまの職場は安定してる。思い切って良かったなーとほんと思う。ギターだって触れる時間、というか、弾いててやり応えを以前よりも感じるからね。

ともかく、連休二日目。

前夜から風邪っぽいからフテ寝して、終えようかと思ってたら、親父からメール、来たる。

「団地の下についたよー」と。

なんだ…?と、思って、直ぐに、あっ!と思う。忙しいからとなかなか会えなかったから、日にちを決めてたのだった。急いで着替える。えーい風邪なんてどこ吹く風よ、と。


柴又へ行く。

その昔、家族みんなで帝釈天へ行こうよ、という機会に、自分はバンドだなんだと半ば家を飛び出してしまってて、大切にしなくちゃならない時間を蔑ろにしてしまってて、それがずーっと気掛かりだったのと、

あとは寅さんの存在だった。

寅さん。まだ一緒に暮らしてたころ、よく親父が休日にごろごろしながら観ていた寅さん。幼心に、

この映画の何が面白いんだろう、、ダメなオトナじゃん、、

なんて、思っていたし、それを観て、ケラケラ笑う親父もどーなんだろ…と、思ってた。


それから数年、ある程度自分の考えも持ち始めた頃、早川茉莉さんという作家さんの文章とか編集本が大好きになるのだけれど、その早川さんが、己のエッセイで寅さんについて書いていて。

もう「男はつらいよ」なんて、記憶の彼方にしていた俺のアタマの引出しから、グイッと引っ張り出したのであった。



早川茉莉さんはこんな感じで書いていて。


"「男はつらいよ」は、確か48話続いたのだったっけ。日曜日になると父がテレビでこのシリーズを見ていた。学校の遠足だったか、職場の研修だったか忘れたけど、バスについていたテレビで「男はつらいよ」を放映していたような気がする。



こちらが見る気もないのに、

彼はあのイントロの曲とともに、ずっと身近な存在だった。


ただぶらぶら遊び歩いてるだけで、どこがいいんだろう、とよく知りもしないのに、なんとなくわかったような気がしていた。美人女優をとっかえひっかえしているのも、やっかみ半分、面白くなかった。"



このように寅さんを、なんだか得体の知れない大人と、半ば嫌悪かと感じる文体で書いていたのだけれど、その後に続く文章では、


でも、そんな寅さんに惹かれてしまう。気づいたら私は寅さんが大好きだった



みたいなことが書いてあって。

え?なんで?と、すごく不思議に思って、なんだか気になって仕方なくて、自分が借りるなんて思わなかった寅さんのDVDを借りて観たのだけれど、これが、グイグイ、グイッと、来てしまった。あー良いなぁ…と思っちゃったんである。

なんでだろうなぁ…と思って、考えてみたけれど、寅さん、失恋しまくってるのだ。いい加減で、自分勝手で、その日暮らしで、おせっかい焼きだけれど、好きな人への気持ちがすごくて、その為にフられたり、自分から逃げたりしていて、そんなザマがすごく(勝手にだけれど)共感してしまって、それだけじゃないだろうけれど、あー早川茉莉さんや親父たちが好んでた寅さんの魅力って、コレなのか、、!と、悟って、

それから「男はつらいよ」は大好きな映画になっちゃったのだった。


そんな想い入れもあるから、訪れた柴又は格別で、帝釈天参道歩きながら、こんな場所に住めたらなぁと思ったくらい。町はのんびりゆったりしてるし、野良猫に何匹も遭遇するし、昔ながらの駄菓子屋さんはいまだ健在しているし。




そんな感じでご満悦しながらで帰宅。Tくんが教えてくれた数々のアイドルソングを聴いてたら、Sさんから久しぶりの連絡。ライブのお報せと、前々から話してくれてた石神井公園呑みしようよ〜、の連絡だった。あー嬉しいなぁと思う。仕事が離れても、こうして連絡来れるのは、たかが仕事仲間で終わらない、友達に成れたのかなーとか、思う。

もちろんライブはもちろん行きたいし、次に会える時、やっと決まった自分のライブの話もしよう。そう思う。明日もがんばろ。